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概要
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地域再生計画の目標
4-1 地方創生の実現における構造的な課題
【林業従事者の高齢化と担い手不足】
南足柄市森林整備計画において整備対象とする森林面積は4,721.74haであり、民有林の蓄積は1,480,880㎥でha当たりの蓄積量は313.63㎥となっている。また、民有林の人工林の面積は3,231haで、人工林率は68%に達し、県平均民有林人工林率の39%を大きく上回っており、県下でも有数の人工林地帯が形成されているが、7齢級以上の林分が約93%と多くを占め、下層木の育成を図るための除伐及び林内照度管理のための上層木の枝打ちや受光伐等きめ細かで継続的な保育施業を進める必要がある。しかしながら、本市における林業経営の現状は、小規模で経営基盤は弱く、国産の木材価格も低迷している中、林業後継者の確保が難しくなっている。また、林業の担い手も減少し、高齢化が進んでいる。このようなことから、森林の管理は、森林組合への委託等の依存度が高まっているほか、地域林業の中核的担い手としても森林組合の重要性はより高くなっているが、森林組合の作業班員は高齢化が進み、担い手の確保が課題となっている。
【森林資源の未利用と満足度】
当市では、森林資源がセールスポイントであるにも関わらず、当市の資源である木材を公共施設の建設や改修の資材や、設備や備品の資材としてこれまで利活用してこなかった。資源が豊富にありながら、幼少期から木に親しむ機会や、小学校から高校生までの学生期間においても林業に触れたりする機会(木育)が進んでいない。公共施設の木質化による触れる機会(木育)を進めてこなかったことも、一因である。市内の木材の流通については、森林組合等により伐採・搬出されており、その殆んどが、県森林組合連合会を通じて市場に流通しているが、その多くが市外に販売されている。林業の衰退により市内での生産・加工・販売といった流通システムが崩壊したことから、木材の地産地消が進んでいない。また、市民満足度調査によると、市に「ずっと住み続けたい」と思っている市民(18歳から29歳)の約7割は「自然環境に恵まれているから」と答えていて、林業の重要度も約6割の方が「重要」としていながらも、林業に対する施策や取り組みについての満足度は決して高くない。主な意見としては、「森林の管理、整備がされていない」、「もっと資源を活かした特産物がほしい」がある。このことから、当市のセールスポイントである森林の環境保全を進めるとともに、森林資源を充分に活用することが満足度に繋がる。同時に、公共施設の木質化を進めること、併せて幼少期から木に触れ親しむ、林業を学び理解する木育を進め、満足度を高めることが望ましい。
【人口減少】
本市の人口は、市制施行時の昭和47年の32,569人から市の発展に伴い増加が続き、平成15年には44,440人となりましたが、その後は横ばいが続き、平成27年10月1日現在の人口は、43,306人で、本格的な減少期に入っている。世帯数は増加傾向にあるものの、1世帯あたりの人員は、昭和55年3.70人であったものが平成27年は、2.67人と減少している。年少人口(15歳未満)と構成比は、昭和55年に10,642人、26.7%であるが、平成27年は、5,379人、12.4%に減少している。出生数は、平成7年の422人から平成27年は273人に減少している。平成18年以降からは、死亡数が出生数を上回る自然減少の傾向が見られ、平成20年度からは本格的な自然減少となっている。転入数は、平成7年の1,812人から平成27年は1,603人と減少しており、平成22年以降は、転出数が転入数を上回る社会減少となっている。
4-2 地方創生として目指す将来像
市域の地形は明確に区分され、西側の約8割が箱根外輪山から続く山地・丘陵地、東側の約2割が酒匂川及び狩川沿いに広がる足柄平野で形成されている。面積は7,712haで、その67.9%を森林が占めており、森林資源が豊富なだけでなく、水源涵養機能が高く、良質豊富な水を生み出している。この豊かな自然、良質豊富な水を求めて、1934年に大手フイルム会社がこの地で創業を始め、当該会社の成長とともに市は発展してきた。その後も化学工場や精密機械工業、ビール工場がこの地に進出し、操業している。当市の森林は、平成7年に「全国水源の森100選」に選定されている。当市の発展と、県民の生活を支えてきた森林資源を持続的に守るともに、森林資源を生かした当市の創生のためには、今後も適正な森林施業の実施により健全な森林資源の維持増進を図る必要がある。そのため一次産業である林業の役割は、当市の今後の発展や県民の生活の維持に大きなウエイトを占めるといえる。当市は、当市で生まれ育った若者の多くが進学や就職を機会に都市部へ流出する傾向にある。また、超高齢社会を迎え、地域の担い手不足等様々な課題を抱えていることから、「南足柄市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、人口減少が地域経済を縮小させ、さらなる人口減少に拍車をかけることのないよう、「雇用の創出」、「定住・観光・交流の促進」、「結婚・出産・子育ての支援」及び「時代に合った地域づくり」の4領域を掲げ、基本的な考え方として次の5つを掲げ、施策の方向としている。
①東京圏との近接性を活用したまちづくり
②恵まれた森林資源や水資源を活用したまちづくり
③民間と連携したまちづくり
④農(林)を活かしたまちづくり
⑤広域連携によるまちづくり
本市のこれまでの発展は、まさしく市域の約7割を占める森林資源の恩恵にほかならない。良質豊富な水意外にも、この森林資源である木材を業とした事業者はいくつかあったが、市内の林業の衰退とともに、森林資源が充分に活用できていない状況である。そこで、市が主体となって、官民連携・地域間連携・政策間連携により森林資源を守り、積極的に利活用するための林業の再生を目指す。総合戦略の4つの領域と5つの基本的考え方に基づく施策については、本市の森林資源との関連付けによる事業展開が効果的と考え、次のテーマで南足柄市の創生を目指す。
①林業の再生(人材育成・担い手の確保)と、森林資源を循環利用するしごと及び雇用の創出地域商社を立上げ、林業の6次産業化に取り組み、間伐、製材、商品開発、製造、販売、リースを行うなど、稼げる林業を目指す。林業の活性化により、新たな仕事を生みだし、雇用の場を確保し、人材の育成、担い手の確保につなげる。
②地元産木材を活用した、公共施設の建設、改修等における「木質化」の推進
当市のセールスポイントである森林資源を十分に感じていただけるように、市産材を幼稚園の建設材に活用したり、学校や市庁舎の改修などで活用し、木質化につなげる。
③地域の学校や都市部の学校と連携し、森林資源に触れ合う機会の創出による「木育」の推進、及び交流人口の拡大この森林を水源とした水が、横浜市や川崎市などの生活用水として供給され、広く県民の重要な生活用水として重要な役割を果たしている。森林の恩恵を受けていることを当市民のみならず、横浜市や川崎市の子どもに森林を保全することの重要性を知ってもらい、間伐や植林といった森林保全活動に参加していただくなど、木育や交流事業を行う。
④都市圏との近隣性を活かした「二地域居住」など、新しい暮らし方ができる場の創出都市圏から1時間程度の近隣性を活かし、副(複)業を希望している都市住民を確保する。市産材を活用した小屋を拠点に、そこに暮らしながら副(複)業ができるような体制をつくるなど「二地域居住」を推進し、関係人口の増、移住、交流の促進を図る。これらのテーマに取り組むことにより、林業の6次産業化が進み、木材の循環的活用が図れるほか、幼少期からの木育により、林業に関心を持つ若者が増えることにより後継者が循環的に育成される。また、都市圏の副(複)業人材の登用により、都市コミュニティとの連携が図られる。当市を訪れた方が自然に親しみを感じ、当市に「住みたい」、「また訪れたい」と思ってもらう。また、多くの当市市民が自然に親しみを感じ、自然を享受し、「住んでよかった」、「住み続けたい」と思えるまちを創る。