関連するSDGs目標
概要
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地域再生計画の目標
地域の現状
島根県隠岐郡海士町は、島根半島の北東約60kmの海上に位置し、人口約2,300人、第1次産業を主とした半農半漁が営まれる自然・人情豊かな島で、歴史的には後鳥羽上皇の配流の地として知られ、貴重な文化遺産・史跡、伝承が数多く残っている。社会・経済的な面では、「離島」という地理的特殊性と公共事業の縮減という社会経済情勢の急激な変化、さらに平成の大合併の際に単独町政を決断した海士町は、離島のハンディをアドバンテージとして、この度のピンチをチャンスと捉え、島の生き残りをかけて島民が結束して自ら地域再生を目指した。魅力ある地域資源のすべてが1つに詰まっているというコンパクトさを最大限に活かすことが必要であるという「海士デパートメントストアープラン~『選ばれし島』まるごと届けます~」のテーマのもと、産業施策をリーディング役として官民一体となって計画を推進し、CAS(CellsAliveSystem)凍結システムを導入。農・水産業と加工産業の繋がりで相乗効果を生み出し、特産品開発、地産地商事業の展開、潮風農業特区の活用、定住環境・人口拡大等の施策を進め、大胆な行財政改革と地域資源を磨き活かした雇用創出と外貨獲得の戦略を断行した。こうした十数年来の取組について、ようやく一定の成果が出始めている(農産物販売金額(経営体当たり):2005年時点128万円→2010年時点435万円→2015年時点590万円)。
また、2017年11月7日に認定を受けた地域再生計画「島のブランドづくり応援プロジェクト」において、「離島キッチンをステージとしたポータルサイトと離島キッチンのリアル店舗の連携による移住、定住の促進」、「地域の生産、加工、サービス現場における担い手不足対策と生活機能の維持充実」、「マルチワーカー、島食の寺子屋、離島キッチンと連携した人材育成と人材循環の仕組みづく
り」に取り組んだ。この取組によって、交流人口の増加と新規事業者数(第3次産業)の創出を図り、実際に2019年には新規事業者数(第3次産業)を1人創出したことからも分かるように、一定の成果が出ている。しかし、「島のブランドづくり応援プロジェクト」において増加を目指した交流人口が目標値に届かなかったこと(2017年2,500人→2019年2,700人を目標としたが実績値は2,400人であった)等を鑑みると、これは決して成功事例ではない。各施策による一定の成果は、強い危機感のもとに「ないものはない」の精神で島の自立に向けて「ものづくり」や「ひとづくり」など多くの挑戦を続けてきた結果であるが、地域内循環率を見てみると(2013年時点50.7%)まだまだ低く、地域外から獲得できた外貨(2013年:79億円)の同額近く(2013年:75億円)が地域外へ出てしまっている状況は続いている。島の柱である観光分野、特に宿泊、飲食サービス業については、従業員数に対して付加価値額が低い状況が続いていることから十分に島の価値を提供しきれていない。今後も、島の価値を発信・提供するブランド化がより一層求められる。
地域の課題
2009年度には、第4次海士町総合振興計画(「島の幸福論」)を策定し、小さな幸福の積み上げの中にも「海士らしい笑顔の追求」をしながら、島民にまちづくりへの主体的な参画を促し、新たな時代の流れや海士町が抱える課題に対応した持続可能な島の実現を目指している。しかし、地域を今一度見つめ直してみれば、島の経済の担い手、労働者不足や高齢化の進展により地域経済の活力は著しく低下し、「島の営みや暮らし」の持続可能性が脅かされ、地域課題は依然山積している。老舗ベーカリー・菓子製造工場、魚の行商販売、民宿・旅館などこれまで地域に根ざした商業者の高齢化や担い手不足に伴い、事業継承せずに引退、休廃業が見込まれるなか、地域の商業機能の衰退が懸念され、地域をサポートする人材の確保も厳しい状況となっている。これら衰退に伴い、雇用の場の減少、若者の流出等による負のスパイラルに陥りかねない。これまでの取組のなかで離島地域における販売・流通面での外部依存及びチャネル戦略の不在を浮き彫りにしており、全国の地域と繋がりが生まれつつある今
、各離島を1つの売場部門(デパート)とみなして、「島デパート」として全国離島と連携し、全体のパイを拡大させる共創ネットワークをつくりながら、これらの地域と連携協働して島を繁盛させていくことが地域の挑戦課題となっている。また、これらの地域課題には、データ分析に基づく部署横断的な取り組みも必要であるが、役場では部署ごとにデータを管理しており、地域課題を複合的に分析かつ共有できるデータプラットフォームが存在しないことから、部署間の相互理解が進まず、横断的な施策の立案、実行につながっていないことも課題である。こうした状況の中で、官民協働によるデータに基づく政策立案や検証作業、政策効果の見える化を図っていくためには、地域課題や成果が共有できる総合データシステムも必要とされている。
目標
海士町観光協会の外商事業部門を分社化し、全国80か所の離島から食材を集めた飲食店「離島キッチン」を展開。2015年には東京神楽坂店、2016年には福岡博多店をオープンさせ、多くの離島ファンの交流拠点になっている。2017年度には新東京店、北海道店をオープンさせた。交流人口の増加は目標未達成であったものの「島のブランドづくり応援プロジェクト」に一定の成果が見られたことや外部有識者による効果検証においても適正と評価されていることから、引き続き、離島ファンの更なる拡充と離島間の連携、強化を目指し、既に200以上の離島、1万人以上いる離島ファン(参照:2016年アイランダー来場者)の交流の場として、離島キッチンのステージを活用した食材提供や商品開発を行うことで、離島の食材の需要を生み出すことによる食文化の維持のみならず、地域商社として様々な形での離島の良さを伝えていくことで、更なるファンの拡充を図っていく。さらに、(一社)離島百貨店と連携しながら、他の離島との連携を強化し、これまで各島が移住・定住、観光等様々な情報を発信していたものをポータルサイト内で一本化し、「島活・島宿・島旅」をテーマとして離島間の競争、を行い、各離島が地域の魅力を競い合いながら、全国から顧客獲得を行い、売り上げ増加による雇用促進、移住・定住促進を目指していく。
さらに、本町内においても離島観光産業の柱であるホテルの魅力化事業、宿泊後の観光地巡りとして隠岐神社の魅力化事業を行うとともに、地域に根ざした商業者の高齢化や担い手不足の解消のために人材育成を行うソフト事業として、マルチワーカー(人材派遣事業)と島食の寺子屋、離島キッチンとの連携事業を行い、それらをステージとしてホテルや隠岐神社も活用し、島の暮らしをキーワードとした新たな観光、観光商品を作りあげる。これにより、観光客と住民との交流を一層生み出し、これまで無かった新たな人の循環をつくり出し、地域経済の発展と地域活動の活性化を目指す。さらには、こうした様々な取り組みを効果的、戦略的に行うために、地域にある様々なデータを一元管理して見える化し、共有化できる「海士町版RESAS」のシステムの構築を行い、官民連携による政策立案や事業検証、改善活動を行いながら、これらの事業を進めていく。